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    皮膚瘙痒症と紅斑について4 H24.4.8
 

2)「紅斑は血分の熱が多い。気分の熱でも起こるが、その紅斑は孤立に存在して大きくない(指爪大)。血分の熱は大きな斑になる傾向がある。紅斑の色については気分熱はバラ色の斑だから、鮮やかな感じがある。一方、血分熱では鮮紅色から暗紅色まである。たとえば熱毒熾盛、湿熱だと鮮紅色になる。暗紅色になるのは瘀血、陰虚、寒湿、気滞の場合になりやすい。色が淡い場合は血虚である。熱のみでなく寒湿、瘀血でも紅斑はでるが、暗紅がおおい」
ただ湿熱は「暗紅であったり潮紅であったり紅斑、脾虚湿熱で淡紅になったりする。」
3)紅斑(バラ疹、銀屑)の弁証では血熱としながら、実際には気分の熱もとる老師も多い。便干で肺~大腸の気分熱と考える人、皮膚の熱が強い時に取る人もいる。石膏知母が代表だが気分の湿熱をとることもある。白鮮皮、地膚子(膀胱)、忍冬藤、黄芩、桑白皮、滑石、蒼朮、防風、白朮、秦艽など。これらを含めるとほとんどの例で気分の熱をとっているといえる。
4)紅斑でもSLE、乾癬などの難治性では毒邪をとることも必要。清熱解毒がいる。
解毒通絡として秦艽、烏梢蛇、蝉退、白花舌蛇草、(张锡君、张志礼、赵炳南)
②虫類の毒(蜈蚣、全蠍)を持って毒を制する(王玉玺)
③清熱解毒で免疫調節機能のある白花舌蛇草と山慈姑を使用している。(房定亚)
(露蜂房:症例7は袪風止痒、攻毒消腫止痛、山慈姑は小毒)
④白花舌蛇草、補公英、秦艽は清熱解毒するが陰と胃を損傷はしない。
⑤秦艽、烏梢蛇は解毒通絡、重楼、白花舌蛇草は活血解毒
⑥また清熱涼血には槐花、大青葉、紫草(紫根)、茅根、生地黄、玄参、牡丹皮、赤芍、が多い。

 

問題点>
血分が陰虚内熱で、気分に湿熱がある場合はどうするか?
対応1)苦寒の薬は陰液を消耗するのでさける。気分にはいる甘寒がよいだろう。血分にはいる苦寒のくすりでは余計に悪くなる。症例として脂漏性皮膚炎で、素体陰虚、肺胃積熱の弁証で「玄参12生地黄15白花舌蛇草30黄芩9桑白皮9石膏12大黄9側柏葉12山査子12」が参考になるかも。
●アトピーで血熱、湿熱の場合
血分に熱あり、陰液は消耗している。湿熱は気分から血分にあるはず。
治療としては気分の湿熱をさばき、血分の血熱傷陰を治す事が主になるはず。
ならば陰液を消耗する袪湿熱剤はよくない。苦寒は良くない。甘寒ならよい。気分に効くのが良い。

 

利水剤、利湿など


桑白皮

甘寒、肺

 

蒼朮

辛苦温、脾胃

薏苡仁

甘淡微寒、脾胃肺

 

通草

甘淡微寒、肺胃

茯苓、

甘淡平。心脾腎

 

玉米鬚

甘淡平、腎膀胱

車前子

甘寒、肝腎

 

忍冬藤

甘寒、肺胃大腸

土茯苓

甘淡平、肝胃

 

防風

辛甘微温、肺肝

滑石

甘淡寒、胃膀胱

 

白朮

苦甘温、脾胃

沢瀉

甘淡寒、腎膀胱

 

竹葉

甘淡寒、心肺胃

猪苓

甘淡平、腎膀胱

 

 

 

 

 

 

地竜

鹹辛平、肝肺

白芷

辛温、肺胃

 

威霊仙

辛鹹温、膀胱

羌活

辛苦温、膀胱腎

 

萆薢

苦平、肝胃膀胱

独活

辛苦温、肝腎膀胱

 

海風藤

辛苦微温、肝

蛇床子

辛苦温、腎

 

炉路通

苦平、肝膀胱

 

 

 

 

 

萹蓄

苦微寒、膀胱

 

半辺蓮

辛寒、心小腸肺

瞿麦

苦寒、心小腸膀胱

 

益母草

辛苦微寒、心肝膀胱

苦参

苦寒、心肝胃大腸

 

烏梢蛇

甘平無毒、肝

黄芩

苦寒、肺胆胃大腸

 

秦艽

苦辛微寒、胃肝胆

黄連

苦寒、心肝胃大腸

 

木通

苦寒、心小腸膀胱

黄柏

苦寒、腎膀胱大腸

 

防已

苦辛寒、膀胱腎脾

竜胆草

苦寒、肝胆胃

 

白鮮皮

苦寒、脾胃

 

 

 

地膚子

苦寒、膀胱

 

 

 

 

 

気分熱をとる薬(利湿剤いがいで)


石膏

辛甘大寒、肺胃

 

金銀花

甘寒、肺胃大

知母

辛甘寒、肺胃腎

 

白花舌蛇草

甘微苦寒、胃大小

竹葉

甘淡寒、肺心胃

 

蝉退

甘寒、肺肝

玄参

苦甘鹹寒、肺胃腎

 

桑白皮

甘寒、肺

枇杷葉

苦平、肺胃

 

 

 

 

 

 

連翹

苦微寒、肺心胆

芦根

苦微甘寒、肺胃

 

魚醒草

辛微寒、肺

天花粉

苦微甘寒、肺胃

 

白鮮皮

苦寒、脾胃

夏枯草

苦辛寒、肺胆

 

漏芦

苦寒、胃

血分熱をとる


生地黄

甘苦寒、心肝腎

 

天門冬

 

玄参

苦甘鹹寒、肺胃腎

 

亀板

 

牡丹皮

苦辛微寒、心肝腎

 

鼈甲

 

赤芍

苦微寒、肝

 

 

 

 

 

              ジベルばら粃糠疹
袪湿(気分、血分)                       清気分熱


1)
蒲辅周

1)血燥生風兼湿
10月仕事で汗かいて風受けて紅色の痒疹がでた。四肢に多い、疹は花びら状で、その他は白い健康な皮膚がある、境は明瞭で、紅疹は片をなし皮膚より盛り上がっている。バラ疹と診断。掻くと痒みはひどい、膿や分泌液はない、食可、便可、脈緩、舌淡、無苔、

1)生地黄30当帰9赤芍12川芎9丹参30蒺藜30地膚子15白芷12羌活9青葉15甘草6香附子9枳穀9

●汗をかいて風を受け、地面の湿と夏を受けて風湿熱の邪が肌膚に蘊んで発病。
参考>白芷、羌活、は燥湿するが温性

2)
王占玺

1)風湿毒熱、犯血
14女、毎年9月になるとばら疹が出る、続いて胃脘痛、便血が2,3か月出る、この9月から躯幹、四肢にバラ紫色の豆サイズの円形、楕円形に突出した皮膚表面の丘疹。全身に広がる、搔痒。圧しても退色ない、悪心嘔吐、便薄い、食欲不振、舌薄白苔、脈浮大無力。
圧迫しても色はひかず、鱗屑多い、面白、手足冷、

苦参15萹蓄10黄連3防風10牡丹皮10蝉退3荊芥穂10蛇床子10沈香3木香6白豆蒄10呉茱萸6

 

参考>蛇床子は燥湿するが温性

3)
许履和

1)風熱の邪、閉塞腠理
皮疹は2週続く、胸腹か始まって全身に及ぶ、小さいのは米大~豆大、色は紅紫、触ると熱い、皮膚干燥、搔痒は強い、不眠。
舌紅白苔、脈数弦有力

 

私>①②の差は?
涼血消風散にして、蒼朮、苦参、木通、地膚子の利湿剤に変更。石膏知母の気分熱をとる。涼血なら①の方が多い。袪風剤をかえた。連翹から防風、荊芥、牛蒡子

1)①紫花地丁15連翹10蒼耳子10海桐皮10赤茯苓10地膚子10白鮮皮10薏苡仁15生地黄10赤芍10牡丹皮10茜草10茅根15浮萍3蝉退2
皮疹は多く、痒みもひどいので
涼血消風散とする

②防風5荊芥5牛蒡子10蒼耳子10生地黄18牡丹皮6蒼朮5苦参10木通3地膚子10石膏15知母6蝉退3甘草3当帰10麻子仁10
これで痒みは1/3になる。     

4)
顾伯华

1)風熱挟肝火郁在腠理
この1週に胸背中、腹部、大腿内側に搔痒、鱗屑のある紅斑できる、便干。小便赤、口干唇干燥。
紅斑はソラマメ~クルミ大の褐色がかった淡紅色の斑片。薄い皮膚鱗屑、血痂、掻破痕、咽喉頬充血、薄黄苔、紅舌、脈細数

1)
①桑葉9金銀花9黄芩9竜胆草1.5生地黄12赤芍9蝉退3玄参9芦根30

②これで紅斑は暗くなったが搔痒は持続。便は不通
去>芦根、蝉退
加>胡黄連、大黄(後下)

5)
李在明

1)血分に郁熱、外受風毒湿邪
散風清熱、涼血除湿
半月前に突然季肋部にソラマメ大の環状の皮疹出る、褐色、淡紅色、薄い糠状の鱗屑、痒みが強い、胸、背中、四肢に出る、掻破痕、血痂、脈細数、苔薄白膩

 

私>石膏知母の理由は記載なし。
袪湿するのは皮疹であるから?疹は盛り上がりを示す。

1)当帰10生地黄10蝉退6胡麻6白朮6苦参12木通6知母6石膏12牛蒡子10荊芥9防風9甘草3大黄9牡丹皮12連翹12

 

●春におこり患者は青年、故に血熱あり。外感の風毒と内外結合して発病。当帰、生地黄、石膏知母、甘草、大黄、牡丹皮連翹は清熱瀉火、涼血滋陰。

 

6)
赵炳南

1)血熱外受風毒湿邪
躯幹、両脇に環状型、楕円形の皮疹紅色で浸潤、鱗屑有、痒み明瞭、胸背部の皮疹の長軸は肋骨に平行、脈弦滑、舌薄白やや膩
2)血熱外受風毒
躯幹四肢の近位に紅色の米粒~コーリャン大の丘疹、辺縁に鱗屑。
3)血熱と感毒湿邪
胸背部、頸部、上肢、大腿部に大小不等、紅色斑疹、楕円形、不規則円形、色は鮮紅色から褐色までいろいろ、辺縁は不整、長軸は肋骨と並行、表面には糠様の鱗屑あり。脈弦細、舌薄白稍膩

1)白茅根30干地黄30大青葉15牡丹皮12黄連60丹参15白鮮皮30黄芩9猪苓9沢瀉9車前子12

 

2)赤芍9白芍9当帰9茜根9白茅根30蝉退6浮萍3白鮮皮30白蒺藜15金銀花15枳穀9生甘草9
3)生地黄12紫根9白鮮根15苦参15当帰6土茯苓15竜胆草6沢瀉9白鮮皮30薏苡仁15 
私>皮膚から盛り上がった斑疹なら袪湿必要。皮疹で紅色なら血熱としている。

7)
朱仁康

1)血熱内蘊、外受風
躯幹、四肢に多くの円形、楕円形の大小不等の斑疹、鱗屑あり、皮疹の配列は皮膚紋里に一致、搔痒

 

 

 

2)血熱内盛、外受風閉塞腠理
治方>涼血清熱、消風止痒
胸腹背に密に分布する大小不等の紅色斑疹、楕円形、類円形、長軸は皮膚紋里に一致、表面医糠様鱗屑、脈弦滑、舌紅、薄白苔、

1)生地黄30赤芍9当帰9荊芥9防風9蝉退6桃仁9紅花9白蒺藜9知母9石膏30甘草6

●生地黄、赤芍、知母、石膏、甘草は清熱瀉火。
(私>なぜ石膏か?記載なし)

 

2)生地黄30当帰9赤芍9紫根15石膏30荊芥9苦参9地膚子9蝉退6白蒺藜9甘草6

8)
张志礼

1)風熱血熱
酒飲んで寒受けて頭痛。これは治るも半月後から下腹部に紅斑、稍痒い、表面には鱗屑、数日前には両上肢、大腿に赤色の皮疹、大小不動、痒い。汗斑と言われて外用薬で洗うも酷くなった。「胸背、頸、上腕、大腿の大小不同の暗紅色の斑疹、楕円形、長軸は皮膚紋里に一致、辺縁部には糠状の鱗屑。右下腹は親指大の大小の斑疹で色暗、淡褐色、不眠心煩。口渇、便干。舌紅白苔、脈弦滑微数。

2)風熱の邪が血分に蘊結する
14歳女、冬になるとよく風邪をひいていた。1週前に胸に片状の紅斑が起こる、少し鱗屑、痒い、「躯幹四肢の近位に楕円形の紅斑、辺縁には糠状の鱗屑、長軸は皮膚紋里に一致。喉は充血、扁桃腺肥大、舌紅、微黄苔、脈滑数、

1)竜胆草10黄芩15干地黄30牡丹皮15白茅根30板藍根30紫根15槐花30車前子15沢瀉15土茯苓30苦参15白鮮皮30地膚子15石膏30

●風熱の邪が血分に蘊する。患者は便干だったので清熱瀉火通便で石膏つかう。便取れば除いた。車前子、沢瀉、土茯苓は清熱利湿。

 

2)金銀花30連翹15牛蒡子10錦灯篭10大青葉30板藍根30山豆根6山梔子10生干地黄15牡丹皮10薏苡仁30六一散30

●薏苡仁、滑石は清熱利湿
私>清熱利湿は気分湿熱をとる中薬になっている。

9)
刑子享

 

 

1)血分瘀熱、外感風邪、熱毒凝結にて紅斑。陽明の燥熱で便干
腹部、腰部に爪大のバラ色の斑疹が密集、四肢に散在して
皮膚より高くない、痒みは激しい、便干、舌紅薄黄苔、脈弦大

1)当帰尾12赤芍9金銀花15連翹15凌しゅう花2芙蓉葉12
薏苡仁24地膚子20紅花6絲瓜絡15黄連6冬瓜子30陳皮12炙甘草6

凌しゅう花>活血化瘀、涼血袪風

10)
欧阳恒

1)風熱外擾、招風内撃。
18男、腹部に3×4cmの円円形の紅色の斑ができた、表面は鱗屑、痒みは少し最近は胸背中四肢に広がり、大小不等の斑片。
糜爛滲出はない、辺縁ははっきりしない、舌紅、薄黄苔、脈浮数、
2)脾虚湿熱
46男、風呂から出ると背中にカイコ大の淡紅色の斑あり。躯幹四肢に大小様々の斑疹で淡紅色、円形~楕円形の斑疹ができた。痒みは徐舒に酷くなる。鱗屑ともなう、発熱あり、体が痛い、咽干、躯幹四肢の皮疹は癒合して大きくなっている。痒みはひどい、食欲ない。辺縁不整、舌紅、薄黄膩苔、脈弦滑。

1)石膏30生地黄15当帰10赤芍10連翹10荊芥10防風10桑白皮15蝉退6白蒺藜10金銀花15甘草5

 

 

2)茯苓皮15扁豆皮15大腹皮10桑白皮15白鮮皮15冬瓜皮15牡丹皮10地骨皮15川○皮10姜皮10蝉退3烏梢蛇10五加皮10
●南方は湿が多いの脾虚湿蘊、風湿が肌膚に郁するので腠理を閉塞して発病するという共通性がある。だから健脾利湿した。

11)
黄振鸣

1)外感湿邪、血熱蘊毒>
●清熱除湿、涼血解毒
80女、躯幹、四肢の皮膚は環状に変化しており、楕円形の皮疹色紅浸潤、面は鱗屑、胸背部の皮膚欠損は多い、舌薄白
、脈弦滑

 

 

 

 

 

 

2)外感風邪、血熱蘊毒
85男、躯幹四肢に紅色の米粒大からコーリャン大の皮疹、楕円形で不規則円形、色はいろいろ、鮮紅色から褐色、辺縁は不規則、表面には鱗屑あり。舌微黄、脈

①生地黄18玄参18蒼耳子12荊芥10連翹12蝉退6木皮18黄柏9半辺蓮18+白鮮皮12地膚子18

②牡丹皮12生地黄18玄参12苦参18連翹12白鮮皮12地膚子18土茯苓30蒼耳子15
●舌脈より湿ありとした。苦参、半辺蓮、木皮,黄柏、土茯苓は清熱利湿解毒、(私>最初①では白鮮皮地膚子の清熱利湿をいれず黄柏、半辺蓮のみ、しかも黄柏は陰虚にも使用できる。という配慮あり。)
●荊芥、蝉退、蒼耳子、白鮮皮、地膚子は袪風止痒。
連翹、黄柏、半辺蓮解毒清熱

 

2)蝉退10荊芥12防風12蒼朮12烏梢蛇18生地黄18牡丹皮12連翹10知母10

①何らかの利湿剤がはいっている。
②気分熱をとる中薬もある。代表は石膏知母だが、なぜ入れるか。
症例8では「便干なので生清熱瀉火通便で石膏つかう。便取れば除いた」大腸すなわち気分の熱ありとしたのだろう。
症例7の朱仁康も石膏知母いれるが、別の教科書では皮膚の熱とるためといいている。

③血熱で外受風熱の弁証が多い。→パタ-ン化している傾向があり
「バラ疹は一度感染して血分にひそみ、しばらくして風邪をうけて風熱相打して広がる。」
症例1では舌淡無苔で紅疹盛り上がりだから、気分の熱かと思われるが血熱としている。

 
 
 
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