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    慢性鼻炎(鼻窒)とその周辺疾患(慢性咽喉頭炎、慢性副鼻腔炎)との違い 3 平成26年6月8日
 

 

8)咽頭痛について
①急性咽炎(中医耳鼻咽喉科、妙法解析、症状鑑別診断学)


風寒外襲

口不渇、悪寒、微発熱、咽頭粘膜水腫、不充血または軽度充血。鼻閉、クシャミ、清鼻水、咳漱、痰薄い、頭痛、身痛、発熱無汗。舌質淡紅、苔薄白、脈浮緊
六味湯(桔梗、甘草、薄荷、荊芥、防風、白僵蚕)

風熱外襲

咽喉干燥、焼けるような熱、疼痛、異物感、喉不利、喉に痰あり、発熱悪風、頭痛、鼻閉、咳漱、舌質稍紅、苔薄白微黄、脈浮数。喉後壁はやや紅腫。
疏風清熱湯(防風、荊芥、牛蒡子、玄参、金銀花、連翹、黄芩、桑白皮、桔梗、天花粉、浙貝母、赤芍、甘草、)

肺胃実熱
(熱毒攻咽)

 

咽痛ひどい、飲み込み困難、咳漱痰黄、発熱、口渇、口臭、便結、尿黄、舌質紅、苔黄、脈洪数、咽喉後壁は咽喉弓は紅腫。顎下リンパ節腫大。
清咽利膈湯(金銀花、連翹、山梔子、黄芩、薄荷、大黄、芒硝、牛蒡子、玄参、防風、荊芥)黒字は涼膈散

 

②慢性咽炎


妙法解析+教科書180

陰虚肺燥

肺腎陰虚

咽喉干燥、灼熱疼痛、午後にひどい、咽喉異物感、干咳痰少、痰中帯血、午後潮熱、盗汗潮紅、手足心熱、舌質紅少津、脈細数、咽喉粘膜潮紅、咽喉リンパ濾胞増生、咽喉粘膜干燥少津
百合固金湯、(熟地黄9生地黄9玄参3麦門冬5百合3貝母3当帰3白芍3桔梗3甘草3)
養陰清肺湯(薄荷2牡丹皮3生地黄6玄参5麦門冬5白芍3貝母3甘草2)

肺脾気虚

脾胃虚弱

咽喉ふさがり不快、痰へばり感、咽喉干燥微痛、口干不欲飲、熱飲、悪心嘔吐しやすい、時に嘔吐泛酸、寒受けると疲れ倦怠、話すると症状悪化、易感冒、倦怠無力、短気、懶言、動くと汗、納差、腹脹、便不暢、舌質淡紅、歯根、苔薄白、脈細弱
咽喉粘膜は淡紅で稍腫れ。リンパ濾胞は増生して分泌物付着
補中益気湯+天花粉、百合

痰熱蘊結

痰凝血瘀

咽喉異物感、痰粘調、灼熱感、或いは咽頭微痛で痰粘で咳、咽喉干燥で不欲飲、易悪心嘔吐、胸悶不快、舌質暗紅、瘀斑瘀点。苔白微黄、脈弦滑、咽喉後壁に濾胞増生、咽喉弓肥厚
貝母栝楼散、(貝母5栝楼3陳皮2.5天花粉2.5茯苓2.5桔梗2.5)
清気化痰丸(胆南星45枳実30半夏45陳皮30茯苓30生姜、杏仁30黄芩30栝楼仁30)+牛蒡子、射干、貝母

 

脾腎陽虚

咽喉異物感、ふさがり感、痰涎稀薄、面色蒼白、形寒、四肢冷、腰膝冷痛、腹脹、納差、下痢、舌質淡嫩、胖、苔白、脈沈細弱
咽喉が温煦できないで痰涎が増え咽喉不快感
附子理中湯+半夏、陳皮、茯苓、

③咽喉痛の中薬
1>咽喉腫痛の効能がある中薬>中薬学より
●薄荷、野菊花、升麻。射干、山豆根、馬勃。牛蒡子、玄参、蒲公英、大青葉、板藍根、牛黄、穿心蓮、白僵蚕、升麻。
2>「痰をとるには理気がいる。それで枳実、陳皮がいる。」 
清金化痰丸にある枳実の説明:導痰丸でも、温胆湯でも枳実はある。

清金化痰丸

胆南星45枳実30半夏45陳皮30茯苓30生姜、杏仁30黄芩30栝楼仁30

温胆湯

二陳湯+竹茹、枳実

導痰湯

二陳湯+天南星、枳実

④急性咽喉炎(資料7)、慢性咽喉炎(資料8)の老中医のコメント
急性咽喉炎


5)吴少怀

●「咽は胃系で喉は肺系である」いつも咽喉痛があったことは、肺胃伏熱である。それに風熱が加わり、咽喉を上犯する。涼膈散を用いる。
邪毒が津液を焼灼して痰を作ったので橘紅、竹茹、石斛、麦門冬入れる。
その後、清熱利湿で滑石いれた

7)张有芬

●①牛蒡子、玄参は清利咽喉。  ②枳穀、前胡、桔梗は宣肺利咽

8)何恕堂

●忍冬藤、連翹、牛蒡子、板藍根で清熱解毒利咽
●黄芩知母で肺胃熱とる。生地黄赤芍で涼血養陰

慢性咽喉炎


2)干祖望

●慢性咽喉炎は陰虚火旺で肺腎の関係が密接。

3)蔡福养

●咽喉病は多くは痰湿を挟む、喉はつまり干咳になり痰多い。リンパ濾胞は簾の玉のごとく。痰の成因は異なるので治療も異なる。1)は脾腎陰虚で虚火が津液焼灼して痰つくるので滋陰清熱(玄参、麦門冬、石斛、知母)、化痰散結(牡蠣、貝母、昆布、海藻)。2)は肝郁気結で痰気交阻である疏肝理気(陳皮、青皮、厚朴、蘇梗)、化痰散結(半夏、貝母、牡蠣)、健脾和胃(茯苓、麦芽、甘草)する

5)孙一民

●①肝郁化火で咽喉を焼く、咽喉干燥、疼痛は内熱である。→蒲公英、連翹、金銀花、板藍根、牛蒡で清熱解毒する。
②蘇梗、桔梗、郁金、仏手,陳皮で疏肝解郁する。石斛は養陰、

9)牛蒡子、玄参に関連して


牛蒡子9玄参15山薬30

張錫純21「三薬でたいていは止咳定喘できる」

牛蒡子10山薬30

朱良春359、「牛蒡子+山薬は止咳には最善のくすりだ」

牛蒡子+玄参、桔梗、甘草。山豆根、黄芩

焦樹徳25、牛蒡子は咽喉紅腫疼痛を治すが「玄参、桔梗、甘草。山豆根、黄芩」とよく併用する。

牛蒡子、玄参

急性咽喉炎、张有芬の解説で「牛蒡子、玄参は
清利咽喉」

10)芦根(葦茎)について①

芦根15-30g
多めに使用

甘寒、
肺胃

清熱生津、止嘔、除煩、清熱利尿

応用1)肺熱、胃熱を清熱して潤燥できる。

(中薬辞典p365)

 

免役機能高める、リンパ細胞を変化させる。(抗菌作用きさいなし)

②李克紹116より


半夏、生姜

一般の嘔吐

芦根

熱吐。肺胃虚熱によい。心膈気滞煩悶

黄連、蘇子

湿熱嘔吐

黄土

胃虚で水薬も受け付けないとき

③芦根は清熱生津でき、清熱利尿できる。
「良い水を補い、悪い水をさる」「水をめぐらす。」(江部さんの茯苓解説から)
→★芦根は虚熱で浮腫がある時適応
11)方剤学には葦茎湯の記載はあるが、辛夷清肺湯、葦茎排膿湯はない。辛夷清肺湯は、実用中医内科、臨床中医内科にもない。中華名方には葦茎排膿湯はある。
辛夷清肺湯と、葦茎湯、葦茎排膿湯

 

辛夷清肺湯

葦茎湯 

葦茎排膿湯

出典

外科正宗

備急千金要法

近代の本(医方新解)
上海中医薬出版。

組成

辛夷2知母3石膏5麦門冬5黄芩3山梔子3枇杷葉2百合3升麻1

葦茎30薏苡仁30桃仁9冬瓜子24             

苇茎30桃仁12冬瓜仁24柴胡24桔梗12鱼腥草60金银花18甘草9

主治

鼻茸

「肺癰で咳漱、微熱、痰は臭い。」などの痰熱瘀血に用いる

肺癰
清肺泄熱、解毒排膿する

方解

★辛夷で疏散通鼻する。黄芩、山梔子で上昇の清熱利湿する。苦寒なので、傷陰せず止咳の麦門冬、枇杷葉、百合をいれる。石膏、知母も傷陰せず、肺胃熱をとる。升麻で清熱解毒、咽喉腫痛をとる。

葦茎は清肺泄熱で主。冬瓜子、薏苡仁は清化痰熱、利湿排膿。桃仁は活血化瘀。

葦茎、柴胡は辛凉泄热;
金银花、鱼腥草は清热解毒
冬瓜仁、桔梗は袪痰排膿
桃仁は活血祛瘀;

その他

①張錫純は「辛夷、蒼耳子は辛温だから、化熱したときは使用よくない。」「石膏は脳漏に良い。」

 

 

12)  辛夷清肺湯では不十分では?
辛夷2知母3石膏5麦門冬5黄芩3山梔子3枇杷葉2百合3升麻1

張錫純「辛夷などの辛温剤は熱症に使うな」というが・・。

辛温とはいえど局所的な炎症(熱、浮腫、発赤)を抑える作用はあるようだ。→辛温+清熱剤で使える

清熱解毒

黄芩、知母、山梔子で肺胃熱とり、抗菌作用ある
(幅広く抗菌作用あるのは黄芩、知母。山梔子は弱い。

石膏

石膏は脳漏(ちくのう)に良い>張錫純

排膿

なし

通鼻

辛夷のみ>排膿は膿が停滞している時に必要。ここでは蓄膿がないので疑問符だが、通鼻の白芷は排膿でできるので、通鼻としてはこれを使う方がベスト。

活血

なし、本来、ポリープの薬なのに活血がない。

芳香化湿

なし

咽頭腫痛には

升麻

痰が吐き出しにくい時何がいるか

1>枳実、陳皮、  2>潤肺化痰、栝楼根、白芷

邪の部位はどうか、時々寒気して発熱は。少陽経では?

 

●排膿、消癰の効能記載があるものは
冬瓜子、薏苡仁、白芷、天花粉、魚醒草、敗醤草、桔梗、黄耆、赤小豆、穿山甲、白及、紅藤、皀角刺

 
 
 
 
 
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